The other side of act.3

■14:29 会場

「おい! おめーら!」

だんだんと華やかな雰囲気になってきた会場に、幽助の大声が響く。

「なんだいなんだい、騒がしいねぇ」
「来なかったか!?」
「何度か蔵馬さんを探して飛び込んできましたが……?」

螢子がぶんぶんと首を振る。

「その後! しばらく姿を見せなかったでしょ?」
「そーだっけかなぁ。こっちも忙しくて気にしてなかったぜ」

珍しく焦った様子の蔵馬が、書置きを見せながら状況を説明した。

「こっちもに覗かれるのを用心してカーテンを閉め切っておったからのう」
「……あのさ、まさかとは思うけどさ……」

ぼたんが青ざめた顔で口を開いた。

「ついさっき桑ちゃん、寒気がする、寒気がするって騒いでなかったかい?」
「う……そういやあ……カーテン越しに不気味な気配がして……」
「さん、霊になっちゃった!?」

螢子が高い声で叫ぶ。
その脇ではコエンマとぼたんが必死で閻魔帳を繰っていた。

「知りませんでした……さん……蔵馬さんのことそんなに……」

雪菜の目にたまった涙に、蔵馬は冷や汗を拭った。

「いや、死んではおらん」

コエンマの呟きで、その場に漂ったにわかな緊張が解けた。

「しかし、衝動的な自殺は閻魔帳に載らんこともあるからな。
 一度霊界に戻って調べてみるか。
 ぼたん、お前はここに残れ」

コエンマは出口で足を止めた。

「だがな、もしそんな事態になっていても、連れ戻すことはできんぞ」

ドアの音がしたきり、会場は沈黙に包まれた。

「……大丈夫だって。だぜ? そんなシリアスな死に方するわけねーだろ?」
「……確かに」

幽助の明るい声に、戸惑いながらも全員の声が揃った。

「あの人のことだ、ケーキでも買いに行っているんでしょう。
 小説も人生も辻褄あわせが信条だとか行ってたし。
 邪魔をしてすみませんでした。オレもそろそろ準備に戻ります」

蔵馬は息をつくと、そう微笑んだ。

「そうだな。オレたちも最後の仕上げだ。
 行くぞ、螢子」

3人を見送って、桑原は唸りながら腕を組んだ。

「……うまいことコエンマに逃げられたな」

くぅぅ、とぼたんが悔しそうにうめく。

「ま、オレたちもとっとと終わらせちまおうぜ。
 手が空いたら皆で探したらいいや」

■14:41 キッチン

一度別間に入った蔵馬が裏口から飛び出して行くのを、幽助と螢子はそっと見守っていた。

「まさかとは思うけどよ、もしがのところに化けて出たらしゃれにならねぇ」
「縁起でもない……」

螢子が眉をひそめる。

「ばーか、万が一だよ。オレちょっくらの様子見てくら」

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20061230